オブネココラム

ほそぼそ産業医 その他MD.PhD.。ご放念下さい。

2022-01-01から1年間の記事一覧

秋刀魚は目黒、日記は妄想に限る

今週のお題「日記の書き方」ジェーン・スーと堀井美香による、Podcast番組 OVER THE SUN を聴いていると、昔書いた恥ずかしい文章をテーマにお喋りが始まった。 スーさんは、17歳の頃に妄想で書いた、ハードボイルドなポエムを紹介。堀井さんは、高校生の時…

あの日の選択も、私をここへ連れて来る

今週のお題「人生変わった瞬間」あの時選ばなかった方の現実が、どこに繋がっていたのか、考えれば考えるほど人生は不思議なものです。そもそも人生は選択の連続で、それを知っていてなお、心穏やかに暮らしている事が、実は物凄い選択なのかもしれません。 …

三年目病

三年目の浮気とはよく言ったもので、コロナさんとのお付き合いも、三年目を過ぎたら倦怠期だなあと、呟いておりましたら、二十代の若者にきょとんとされました。ジェネレーションギャップというやつですね。大目に見ていきましょう。 三年目の話でした。 石…

ふゆふゆ冬毛の季節

今週のお題「防寒」0655のおはようソングに、冬毛の歌という歌がある。0655のおはようソングは、本当にどれも珠玉揃いだ。優しさと温もりに溢れた歌詞と、ゆったりとした音律。音楽の素養の全くない者にも、それだからこそなのかのか、基礎的な音楽的作法に…

怪我の功名でアルコール依存症を免れた

将棋界の重鎮である先崎学さんが書いた『うつ病9段』には、うつ病の辛さが淡々と書いてある。 うつ病の朝の辛さは筆舌に尽くしがたい。まず、ベッドから起きあがるのに最短でも十分はかかる。ひどい時には三十分。その間、体全体が重く、だるく、頭の中は真…

地元はちっぽけであって欲しい

今週のお題「地元自慢」地元とは、どれくらいの広さの土地感覚なのだろうか? 小田嶋隆さんの最期の小説『東京4次元紀行』の中に、「東京の様な人口が稠密な場所では、一人の人間が親近感を抱き得る土地の面積が相対的に狭くなる」という一文があるが、東京…

金運ないのはカバンの中身のせいなのか

今週のお題「カバンの中身」そういえば最近は、駅の改札やなんかで、カバンに手を突っ込んでゴソゴソしている人は見かけなくなった。皆、とてもスマートにさっと改札を通り抜けて行ってしまう。そんな都会人を横目に、いつまでもカバンをゴソゴソしてしまう…

猫を愛する人は

今週のお題「わたしは○○ナー」私は猫のバトラーである。或いは、猫の寵臣、佞臣、下僕、従者…。猫を愛する人は、なぜか猫にお仕えしてしまう。犬を愛する人とは主従が逆向きになってしまうのが面白い。猫なんて、本当に猫の目の様に気まぐれで、不意に一人に…

感情にも、力学的エネルギー保存の法則

彼女は、いつかの圧迫骨折のために円背となっていて、一見して、いわゆるお婆さんだ。整形外科に行っても痛いのは治してくれないし、話も聞いてくれないから行かないと言い張って、でも内科のかかりつけ医にはきちんと通い、膝や腰が痛いと訴えるのだ。自分…

家に帰りたい、という奇習

今週のお題「マイルーティン」漫画家のヤマザキマリさんが、ご自身の事を「二ヶ月と同じ所に留まれない移動系体質の人間」と書いていた。私は、いつも同じ場所で眠りたいし、旅行に行っても数日もすれは帰りたくて仕方ない、というマイホーム好き人間だ。と…

リチャード3世と貞観政要

シェイクスピアって、面白い。知らなんだ。知らないで死ぬのはもったいない程、面白い。 これまで、リア王とか、ロミオとジュリエットとか、利己的にしか生きられない人間のもどかしさのフルコースみたいな物語がどうにも息苦しくてあまり好きではなかったけ…

アンチブードゥー、反反知性主義に生きるには

アベノミクスはブードゥー経済学だったのか?とかいう、オシャレな言説を仄聞した。 ブードゥー経済学?なんかのおまじないか?という訳で、ここはグーグルさんにお願い。 すると、 国際経済学の授業では、「“貿易黒字は儲けで貿易赤字は損”というのはブード…

幻のレイコー

今週のお題「冷やし◯◯」 二十年くらい前の、とある職場。外回りから帰ってくる人達の、額に汗が滲むようになる季節。そんな日には、やはり冷たいものが欲しくなります。 M氏「そういえば、和歌山に用事で行ったら、 『冷やしでんだい始めました』っていう貼…

白井聡先生の面白さは、太田胃散のよう

知識人といわれる先生方が、社会をどのように理解しているのか知りたいけど、難しい学術用語とかは苦手なんだなあ、という人に、勝手におススメする一冊 長期腐敗体制(角川新書 白井聡)134ページより 二〇一九年二月の国会で、アメリカのトランプ大統領(…

ドライブマイカーは文学の映像表現だと思う

映画ドライブマイカーは、村上春樹の小説世界そのものでした。映画版ノルウェイの森は、ストーリーはなぞられていたけれど、原作の世界とは何かが違っていました。ドライブマイカーは、原作とはストーリーは違うのに、どこがこんなにも村上春樹ワールドなん…

コロナ第7波どうでしょう

発熱外来は、猛暑とゲリラ豪雨とで、まるで「水曜どうでしょう、ベトナム縦断の旅」の様な、懸命さと悲壮感がある点を通り越した時の、馬鹿馬鹿しい達成感とでも言えばいいでしょうか?そんな感じです。今回のオミクロンだかケンタウロスだかは、肺炎にはな…

思い出を、洗ってさっぱり出来るのか

今週のお題「最近洗ったもの」私は、洗濯オタクなのだろうか?。週に一度程度、シーツやトイレマットやテーブルクロスを洗うとなると、結局ほとんど毎日二回洗濯機を回す事になる。おそらく洗いすぎで、トイレマットの端が擦り切れてしまった。それでも使っ…

一軍目指して

今週のお題「二軍のTシャツ」一応Tシャツは持っているけどもちろん全部二軍で、一軍のTシャツなんてそもそもない。つまりTシャツで外出は出来ません。というのに共感してしまうのなら、まあまあなお年頃ですね。ふふ。 スーツは、衰えた筋肉や、張りのない首…

沙汰の国の弁護士 

ギリシャ神話には、それはそれはカラフルな神様が出てきて愛憎劇を繰り広げる。日本の古事記だって同じ。そんな小説書いたって誰も読まないよ、というくらいの変な物語が堂々と語られる。そもそも、兄妹のイザナキとイザナミが交わって、国を産もうとして最…

ネロンガを飼い慣らす

今週のお題「マイベスト家電」 公務員官舎というモノに少しだけお世話になったことがあります。あれは世間が思うような、議員宿舎みたいに立派なものではなく、築40年の骨董品みたいな建物で、バターンと凄い音を立てて閉まる鉄の扉、板張りの(フローリング…

タイムパフォーマンスがいいとか悪いとか

ライターの稲田豊史さんが、「映画を早送りで観る人達」で、映画やドラマなどの動画を初見で「倍速視聴」「10秒飛ばし」する事が習慣化している若者について書いている。 もはや若者ではない私も、一時、撮り溜めしていたTV番組を見るのに1.2倍速とかで見て…

参議院選挙が始まったらしい

参議院選挙が始まったらしい。 私は大人だから、選挙には行く。 ところで、議員という職業が憧れの職業でなくなってから久しいと思うけれど、それはいつからなのでしょう? 私が大人になったから?、それだけではないと思います。尊敬できる人は、私の周囲に…

追悼 小田嶋隆先生

小田嶋隆さんが鬼籍に入ってしまわれた。 昨日、センセイの書いた小説を読み始めた所でした。 小田嶋センセイは、現代社会を鋭く批評、とか言われがちだけれど、やはり鋭さはどうしたって、鋭い刃を握るその人自身が傷つかないではいられないのか、センセイ…

猫に小判 私にドメイン

今週のお題「わたしのドメイン」 独自ドメインを取得できますよ。どうですか?と言われたら、何と答えようか考えておかないといけない時代なのでしょうか。大変な事です。何故なら、豚に真珠、猫に小判、私にドメイン、だから。 猫に小判は、全くもって意味…

祖父の本棚

今週のお題「本棚の中身」 祖父は、普通の人だったが本が好きだった。正確には本が好きな自分が好きだったのだと思う。太平洋戦争に人生を狂わされた一人で、戦争がなければ、学者になりたかったのだろうか、貧乏でなければ太宰治の先生の様な、高等遊民の暮…

夏のいいところ

今週のお題「夏物出し」 夏は夜。より朝がいい。熱気と湿気が盛り上がってくる前の、未だ空が透明な青色の頃。人の気配のない通りに咲く朝顔も涼しげでよい。太陽が高くなり、じわりじわりと刺す日差しの元では、向日葵までも、ぐったりしてしまう。夏は、夜…

一番高くて、一番楽しみな投資

今週のお題「人生で一番高い買い物」 お金で幸福を買うことは出来ないが不幸を遠ざけることはできる。という名言がありますが、これは、何だか怖い。要するに、お金があれば安全な家に住み、安全な車に乗り、安全な食べ物を手にする事ができる。逆にお金がな…

実在のピカールと架空の大岡越前

ドレフュス事件。 1894年当時のフランスでは、売国奴のユダヤ人を庇っていると非難される事を恐れた軍部が、ドレフュスを非公開の軍法会議において証拠不十分のまま裁いた。ピカール中佐は、ドレフュスの無実を示す証拠を発見。再審を求めるが、国家的なスキ…

町山智浩さんにキノコの差し入れを

SNSでは、攻撃的な言葉遣いが飛び交う。それに丁寧に対応する町山智浩さん。内田樹先生は、SNSで知らない相手に向かっていきなり「お前」とか言ってくる人たちは「私が無作法であるのは、感情を制御できないくらい怒っているからであり、それは怒るだけの合…

覗きこんではいけない。でも手遅れかも

今週のお題「ホーム画面」 停車駅に近づき、電車はゆっくりと、そして完全に停車した。けれども駅ホームの随分手前らしく、いつもならぐんぐん流れていくはずの車窓の景色がぴたりと止まったままで、遅延を詫びる車内アナウンスが流れた。数分ならいいが、そ…