オブネココラム

ほそぼそ産業医 その他MD.PhD.。ご放念下さい。

白井聡先生の面白さは、太田胃散のよう

知識人といわれる先生方が、社会をどのように理解しているのか知りたいけど、難しい学術用語とかは苦手なんだなあ、という人に、勝手におススメする一冊
 長期腐敗体制(角川新書 白井聡

134ページより
二〇一九年二月の国会で、アメリカのトランプ大統領(当時)をノーベル平和賞に推薦する云々の話で、野党議員から突っ込まれたことがありました。「あんなにとんでもない言動で悪名高い人物をノーベル平和賞に推薦するのはおかしいじゃないか」などと言われ、安倍氏はこう答えました。「米国は日本にとって唯一の同盟国であり、その国の大統領には一定の敬意を払うべきだろうと思います。御党も政権を奪取しようと考えておられるのであれば」、と。

 この事件というか出来事は私も覚えています。これを聞いて、安倍政権への尊敬や連帯感は更に不可逆的に損なわれたなあ。この、他人を嘲笑する人特有の憎々しい顔つきとか、嘲笑された人(野党議員)が持ったであろう苦々しさは必ず伝染するから、どちら側が伝染したとしても、嘲笑する側とされる側に分断してみせる以外の効果はなくて、つまり国民の代表としては最悪のやり方だな、ああ、不愉快だ。と思う位が私の限界でした。
 この出来事に対して白井先生がなんと解説しているか、というと

まず「米国は日本にとって唯一の同盟国である」の「唯一の」には、深い孤独が滲んでいます。
中略
さらに「その国の大統領には一定の敬意を払うべきだろうと思います」は、大変な問題発言です。なぜなら、トランプ大統領に本当は敬意を払っていない、と言っているに等しいからです。
中略
一方でこの発言は、非常に情けない発言でもあります。「アメリカに媚びも売らずに、政権をとりたいと思っているの?」という意味でもあるからです。アメリカに媚びを売る必要がある、もっと端的に言うならば、「属国なんだから汚い靴を舐めるのも当たり前だろ!」と、ここまで堂々と言ってのけた日本の総理大臣もいないでしょう。

こんな感じで、なんせ、とっても面白い。もやもやしていたのが、すっきりしました。まるで、ジャンクフード食べ過ぎの胃もたれに苦しんでいる時の太田胃散のよう。
というのはメタファーで、本当の食べすぎにはAM散がお勧めだけれど。
 白井先生の著書、国体論、武器としての資本論も面白かったけれど、読みやすさ、首肯レベルとしては、この新作が、面白いっ。