オブネココラム

ほそぼそ産業医 その他MD.PhD.。ご放念下さい。

お正月の神社と天の川

さして信心深い訳でもないのに、初詣には行きたくなる。

 お正月の神社は不思議だ。帰りに山の上ホテルで天ぷらでも食べて帰るか、なんて言っていそうな上品なご夫婦と、襟足を伸ばした髪型の子供が走り回っているのを叱り飛ばしている家族連れが、お参りするために隣同士で並んでいるのだ。

こんなに多様な人達が同時に暮らしていたのかと改めて驚く。普段なら同じ街でも、お互いの存在にも気付かない様な暮らしをしているのに。年に一度の、パラレルワールド住人同士の奇跡の接点。お正月の神社は、天の川なのか。

 大学生として過ごしたのと同じ町で就職した友人が何気なく言っていた。就職してから、同じ駅前なんだけど行く店が変わったんだよね。こんな店あったのか、って思った。毎日その前を歩いていたのに全然視界に入ってなかった事に驚いた。と。

 つまり社会は元々、多重人格的で、我々はその一面だけを見て暮らしている。

おり姫と彦星も、年に一度の逢瀬以外の長い時間はお互いの事をすっかり忘れて、それぞれの生活を営んでいるのだろう。そして年に一度思い出すのかも知れない。

あ、そろそろ天の川に詣でる時間だ、行かないと。