オブネココラム

ほそぼそ産業医 その他MD.PhD.。ご放念下さい。

今週のお題「デスクまわり」

 デスクまわりは小宇宙。

子供の頃の学習机は、それこそ我が国、我が城そのものでした。右手にカバンを置いて、左手に本棚。デスクの右前方には鉛筆立てとお気に入りのマンガ本がいつもの常連さんで。机の左手前部分には、何を思ったか力を入れ過ぎてしまった、あの日の工作で出来てしまったカッターの傷がいつまでも生々しい。その場所でプリント用紙に字を書くと、たまにその傷に鉛筆の先がはまって穴が空いてしまう。よくわからない消しゴムの匂いや、鉛筆の匂いもいっしょに蘇る。懐かしい、子供のお城。

 大人になっても、フリーアドレスのオフィスでも、会社の食堂でも、常連の多い喫茶店でも、どうして人は同じ席に座りたくなるんだろうか?

 それはある種のマーキング行為の様に思う。もちろん実際に匂いを付けるわけではないのだけれど、空間に自分の型抜きをする様な感覚。何度か訪れているうちに、その空間が自分の形に変形して来て、すぽっ、とはまるととても気持ちよく、とても落ち着く。そこに誰か先客が居たりするとその人の形に空間が歪められる気がして、非常にがっかりする。自分のものじゃないから仕方ないんだけど。

 我が家のネコ姫様。本気で眠い時は、ネコ専用布団の上に陣取って丸くなるが、何となく微睡みたい時は(本人に聴き取りした訳ではないが、多分)、私の椅子に座りたがる。こうなると、ほとんど椅子取りゲームの様相を呈する。これは、飼い主の空間を猫の形に型抜きする行動なのだろうか?どうりで、しばらくすると、そこに猫がいないと空間がぽっかりと空いた気がしてとても寂しくなるのだ。それが怖くて哀しくて、せっせと猫のお世話をして甘やかしてしまう、哀れな飼い主だ。