オブネココラム

ほそぼそ産業医 その他MD.PhD.。ご放念下さい。

千里の道も一歩から

 私は、ある人が嫌いだ。いつも声が大きくて「どんぶり勘定って言われたくないからねえ、あれから部下に計算してもらいましたけど、彼もしっかり頑張ってくれて、これでいいですか?」って畳み掛けてくるタイプ。マインドが基本的にけち、で、いざとなったら、上がそう言ってるのでとか言って逃げるのが見え見えのオッサン。彼の部下からは、現場が分かってなくて、まともな指示出さないクセに、これじゃないんだやり直し、とか偉そうに言って成果だけは自分の業績にするんだぜ。と思われている(ここは私の想像)

ところで、そんなオッサン、どこかで見た事あるような、どこにでもいる様な気がしてきました。

となるとこれは時代の空気なのでしょうか?

そういえば声が大きくて厚顔な印象、いわゆるドヤ顔の政治家や、政治家の様な人はテレビによく出演していますよ。頑張って見ないようにはしてますが、なぜかドヤ顔のオッさん達は今、テレビ業界の寵児です。吉村さんは頑張ってるんじゃない。維新の会は業績が評価されたからこそ、前回の選挙でも躍進したんだし。と本気で思っている人はさすがに絶滅危惧種だと思いますが、ドヤ顔のオッサンをありがたがっているとどうなるのか?という社会実験をテレビ業界と行政で共同していまだ決行中としか思えない状況です。

その実験の中間結果報告として、大阪の人口当たりのコロナ死者数、病床逼迫が全国ワーストと報道されました。

大阪の病院の質は決して悪くないし、医療レベルそのものも関東圏より上質だったりする分野もあるくらいなのに、何故?と思いますよね。なぜコロナ死者数と行政が関係するのかを行政自身が理解してないからとしか思えません。

批判をかわす事に血道を上げてないで、やるべき事を粛々とやって欲しかった。答えは現場にあったのに。病床を増やすのと同時に保健所職員を大幅増員する事が必要でした。何故ならコロナが疾病と同時に感染症の側面が大きいから。診断と治療は医療、公衆衛生対策は保健所が主に担う事が前提で、医療と保健所が連携する。この仕組みを上手く進めるには保健所職員のマンパワーが圧倒的に足りなかった。

医療者は目の前の患者さんへの医療しか出来ない。パンデミックで患者数の桁が上がった時は、保健所が公衆衛生的な協力をする。そういう体制を構築出来なかったのが今回の結果でした。

 つまり、今の惨状は、現場をわかってないドヤ顔のオッサン上司の下についてしまった部下の悲哀と形は同じではないですか。日本全体で、こんな醜悪な社会実験をしている事に絶望的になります。

しかしそうとわかると、千里の道も一歩から。私達一人ひとりがやる事はただ一つ。身近なドヤ顔のオッサンを正しく退治する事です。これまで距離を置いて見て見ぬふりをしてきたけど、ちゃんと闘う事にします。自分自身の中の鬱陶しいオッサン成分とも。